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NBAの話題についてオクラホマシティサンダー中心に書いていきます

プレシーズン#2 どうするのサンダー

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ホーフォードを初めに、初戦欠場メンバーの多くが合流したサンダー。でもヒルムスカラ、ホールとジェロームはお休みです。特にホールは昨日Twitterでひっそりと呟いた通り、素晴らしい拾い物をしたと感じているのでプレイを観たかったのですが仕方ない。

ちなみにヒルの休みを受けてスターターはシェイ、ドート、ジャスティン、ベイズリー、ホーフォードとなりました。開幕以後はジャスティンoutでヒルinの形になりそうと予感させるラインナップです。

あと3月以来のチェサピーク・エナジー・アリーナに戻っての試合ということでなんだかぎこちない感じのホーム戦となりました。そもそもコートも新調されているので去年と違うコートだから当たり前と言えば当たり前か。ちなみに変化はこんな感じ。

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そんなこんなありましたがそろそろ試合について語っていきたいと思います。今回は明後日も同じカードがあるので手短にいきます。

 

*見える方針見えない役割

ぶっちゃけチームはバラバラでした。スターターはやはりそれなりに実力でまとまってる風に装っていたけれどベンチとなると最早サマーリーグの様相ですね。まぁプレシーズンだし去年からローテーションメンバーとして残っているのはシェイ、ドート、ベイズリーのみでほぼ全員総替えなので仕方ないと言えば仕方ない部分です。ただこの時点である程度役割を伝えておかないと好き勝手するバスケになってしまうのでなるべく早い段階、遅くともシーズン1月上旬くらいには個々の役割を決めておいた方がいいと思います。若手って何でも吸収しようとしますが実は1つ1つタスクフォーカスして育てていくのが成功しますしね。昨年のベイズリーの3P特化育成とかはまさにそれです。ちょっと前で言えばDFを集中して伸ばしていった選手も何人かいましたね。いかんせん改善べき部分が多いので選手側も運営側もそこら辺の判断が大変です。ただダイノートのやりたいことに合わせた方が出場および活躍の機会は増えます。そういう理由でドノバン時代はDF特化の育成が多かったんでしょうね。

ドノバンとダイノートを比較するとかなり革新派の印象が強いダイノート。フロリダ大でコーチングしていたりとドノバン門下生であるはずなんですがね。そんなダイノートの目指すバスケットはズバリ「ペース&スペース」のバスケット。これはペース&スペースが好きと公言していることもありますし、観ていると積極的ににアーリーオフェンスを取り入れていることや、フロアのスペーシングを重視していることが分かります。ただ今のところ戦術がないのでシェイが崩してパスアウトするかどうかくらいしかありません。徹底してるのはピックを呼んでの2メンゲームで展開することくらいで後はみんなフリーダムにしています。なのでオフボールムーブもめちゃくちゃだし、シェイとホーフォード頼みになります。これは役割が決まってくればこいつはここにいる、こいつはこういう時にこういう動きをしてくるというある程度細かいセットまで決まってくるのですがまぁ時間が圧倒的に足りずといった感じ。

いかんせん個人で崩せるメンバーでもないので連携が肝要。でもメンバーがぐちゃぐちゃすぎて手が回らないという現状なのでした。ダイノートがてんてこ舞の様相がみえる。

 

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NBAプレイヤーとは?

役割が決まらないと重大な欠陥を引き起こします。それはロールプレイヤーが生まれないこと。現状のサンダーのロスターは9割がロールプレイヤーです。が、そもそものロール、つまり役割が決まっていなければロールプレイすらできないということ。これは総じて全員が何でもかんでもやりたがるGリーグやサマーリーグと同じことです。つまりロールをきっちり設定してやればその部分に関しては出来るけども、出来ないことまでやりはじめると収拾がつかないと言うことです。顕著なのはベンチメンバーで、特にディアロはボールを持ってもロストするようなことは減ったけれど長い時間コントロールするのには明らかに向いていません。プレイメイクできるようになったらいいとは思いますけどあくまでエクストラパスを出せるくらいで留めておいた方が絶対に良いです。そもそもシュートが入らないことがドノバンにバレバレなのでベン・シモンズ並みに引いて守られるのがオチなのでした。それじゃ抜けないしパスも見え見えだよねってことで相当苦しかったディアロ。ディアロよ、本格的にPF始めないか…?ちなみにHOUがジョーシーン・テイトという新人でそんなようなことをしています。ディアロにもそんな感じを目指させたい。

フランクの方のジャクソンはどうしたってインスタントスコアラーの域を出ないし誰が観てもマレドンがコントロールするのが1番安定します。というかマレドン以外はNBAプレイヤーとはなんなのかといった部分から考えなければならないレベルなのでした。ロビーは目立たない好プレイを10重ねて目立つミスを2つ犯して台無しにするような感じですしケンリッチに関してはディアロとキャラが被りすぎで出場機会を得るビジョンが全く見えません。正直ヤングコアっぽい5人とホーフォード、ヒル以外は誰がカットされてもおかしくない状況にあります。それくらいにはまとまりのないバスケをしているサンダーのベンチ陣でした。

ここまで書いてきてなにが言いたいかと言うと、ロールプレイヤーは役割を与えないとGリーガーとあまり変わらないのだから早く役割を設定してくれ、ということになります。ダイノートも大変ですけどこんなロスターでHCを引き受けた以上は避けて通れません。勝率に関しては3年くらいは大目に見られるかもしれませんがそれでもある程度の結果を残さなければ解任は免れませんし、せっかくやりたいことが決まっているHCなのだから詳細を詰めていけばこんなロスターでも見られるチームにはなるのにと思いました。

 

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*ハイセンスとナンセンス

おまけで期待のルーキー、ポクシェフスキーについて少し。マレドンはルーキーの時のシェイみたいな感じで堅実な良いガードになると思いますが、ポクは本当にさっぱり読めません。めちゃくちゃセンスのあるプレイをしたかと思えばくだらない見るに耐えないプレイをしたりします。未熟と言えばそれまでですが、結局のところリバウンドを自ら取ってトランジションに持ち込むプレイやパスセンス、ドライブセンス、ロングレンジを厭わないシュートなどの魅力は光りますが全て7フッターとしての評価であり、7フッターとしての強みを活かせなければ何者にもなれません。リム付近で負けたり、ペリメーターで簡単にやられたりと選手もコーチも少しなにをしたい、させたいのかわからない部分があり、そこを見出さないと使いようがないと思います。4年でカットされてしまうプレイヤーになるかオールスターになるかはまるで分かりませんが、なりたい選手像をコーチと相談するのが先決かなと。これも繰り返しになってしまいますがなまじっかパスもドリブルもシュートもできてしまうからこその弊害ですね。ユニコーンタイプの育成は本当に難しいものだなと感じ入りました。

 

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試合には大敗したものの課題も良い部分も両方見れたのでホールとジェロームが観られなかったこと以外は満足でした。あとホーフォード凄すぎてね。ドノバンは相変わらずの選手に投げるバスケットをしていたけどザック・ラヴィーンやコービー・ホワイトは楽しそうだったから良いのかな。手短にと言いましたが既に3000文字超えとなかなか読みにくい記事に仕上がりました。それでいて裏打ちする数字を引っ張ってこないんだから酷い記事だ。

本当は数字を出して分析したいのですがプレシーズンなのでサンプリングも難しく、シーズンが始まってからかなぁと思っています。許してつかぁさい。

それではまた土曜日の試合後にお会いしましょう。

 

 

 

ダイノート・サンダー

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NBA is Back

と言うことで今年もこの季節がやってきました。そう、プレシーズン開幕です。実は昨日からちょいちょい気になる選手を眺めていたのですが、やはりオビ・トッピンやラメロ・ボールが目をひきますね。ベテランで言うと移籍組のシュルーダー、イバカ、カーメロなんかも良さげで元OKC組の活躍が見られました。

でもなにより語るべきは今年のサンダー。と言うことで本題です。

 

*ダイノートとポジションレス

あ、先に与太話ですが私の日本語表記は多分ダイノートで固定されます。実況解説のフィッシャーとケイジの発音準拠だとおそらくダイノート。ポクはポクシェフスキー、テオはマレドンと聞こえるので基本的にそちらに合わせます。

………

昨日、サンダー公式から恐ろしい発表がありました。それはサンアントニオに7名の選手が帯同しないという発表。内訳はホーフォード、ドート、ベイズリー、ミラー、ジェロームジャスティン、ホール。そして元より合流予定のないアリーザを加えると計8名が遠征不参加という告知だったのでした。理由は明かされていませんが、先日まで感染して隔離されていた疑いのあったドートは大事をとって、ジャスティンは未だに隔離中、ホーフォードはそもそも未合流ということかなとおおよその目星はつきます。その他はよく分かりませんが。

まぁそんな多くの欠場者を出した中でサンダーは12人で試合に臨むことに。特に中核とみなされるホーフォード、ドート、ベイズリーの欠場は大きく、今季のサンダーをお披露目、とまでは望めない状態であったことは確かです。なのでローテーションも不確かなものになりますが、今日のローテーションはこんな感じに

ヒル/テオ

ディアロ/フランク

シェイ/ポクシェフスキー/スコフィールド

ロビー/ケンリッチ

ムスカラ/リーフ/ブラウン

ただやはり欠場者のせいで寄せ集め感が強く、正常なローテーションではどのようになるのか想像も難しいくらいですね…ただ個人的に気になったのはテオとフランクのラインナップです。フランクをFAで獲得と聞いた時にはPGを集めすぎでは?と思ったのですが今日は2人を並べていたので役割的にフランクはシューティングメインのスコアラーになるのかなというイメージは持てました。なんとなくこの辺からもダイノート節が感じられます。シーズン中もローテーションに組み込まれそうな勢いでしたのでその辺を考えて17日以降のローテーション予想をするとこんな感じに。

ヒル/テオ

ドート/フランク

シェイ/ディアロ

ベイズリー/ポクシェフスキー

ホーフォード/ムスカ

10人ローテの場合はおそらくこんな感じになるんじゃないかなと。いかんせんローテーション確定なのがシェイとホーフォード、ドート、ベイズリー、ヒルしかおらず、残りのメンバーは実力が拮抗してる感じではあるので誰がローテに入り、誰がベンチに入り、誰がカットされるのか予測するのは難しい問題です。ちなみにルールに則って本契約のロスターから3人をクリスマスまでにカットしなければならないので由々しき問題です。危ないのは帯同していないジャスティン、ジェローム、ミラーあたりかなぁ…実はフランクも契約が非保証だったりしますが。

まぁなんでこんなローテーションの話を先にしたのかって言うと私が言いたいのはダイノートの采配が何かおかしいということ。いや別に悪い意味でもないのだけれど。今日のローテーションももちろんですが仮想ローテーションもよく見ると実に面白いです。ちょっと本来のポジションをつけてもう一度見てみましょう。

今日のラインナップ

PG/PG

SG/PG

PG/PF

PF/PF

PF/PF

仮想ラインナップ

PG/PG

SG/PG

PG/SG

PF/PF

PF/PF

うーん奇妙。まずぱっと見でわかるのが本職Cがいません。センターレスバスケットだ。あとSFがいません。なんだこれは。ということで、実はめちゃくちゃなポジションレス化が進んでいることが分かります。ずっとポイントガードとセンターを中心にオールドスクールバスケットを展開していたドノバンの方針とは真逆をいく編成。明らかなニュースクールです。しかしドノバンが昨季築いた流れも汲んでいる部分がありますね。それはシェイのSF起用です。これは元来ポール、シュルーダーとのスリーガードラインナップのためにシェイがSFポジションに置かれるというものでしたが、ドートが頭角を表すにつれて、ドートをスターターとして使うためにシェイをSFにシフトしていった背景があります。とは言っても実際にシェイがSFとしてSFらしいプレイすることはありませんが(そもそもSFってなんなのかという話は難しすぎるので置いておきます)。これも一応ポジションを無視しているのでポジションレスと言えるでしょう。つまるところダイノートが目指すのはポジションレス・バスケットです。「今更?」と感じる方もいるかもしれませんが、確かにポジションレスバスケットは暫く前から存在しており、その代表的なのがブラッド・スティーブンスHCのバスケットです。彼は従来のPG、SG、SF、PF、Cという5区分の考えを撤廃し、ハンドラー、ウィング、ビッグという3区分でバスケットを展開していると語っており、それは今のNBAでも1つのトレンドになっています。言ってみればスモールボールを少し進めたものであり、昨季ロケッツのマイクロボールまではいかないちょうど中間地点のようなバスケットでした。ただ、ダイノートの考えは少し異なるようです。ここ止まりだとただのポジションレスバスケットなのですが、ラインナップの方に今一度立ち返ると、Cが不在かつSF不在といった点でその考えとも異なっていることが分かります。つまるところ今年のサンダーはGとFといった二極化、もしくはオールハンドラーの一極化バスケットとなっていることが分かります。これはDALやHOU、MILなどがやっているエースハンドラーを中心にサポートメンバーを揃えるバスケットボールと構成としては似ていますが大きく異なるのが、誰もがハンドラーということ。ぶっちゃけムスカラはハンドラーではなくシューターなので少しずれるのかもしれませんが、誰しもがボールを持った時にどの位置からでもドリブル、パス、シュートの選択があり、ある程度個人での打開が期待できます。これはオールドスクールのようなシューターやフィニッシャーのビッグマンは使われる側であり、ハンドラーの裁量によってチームの出来や方向性が左右されるといった考えや特色を完全に打ち払ったものとなります。ある種の最先端なのかもしれない。ローテーションプレイヤーが誰しもがどこからでもなんでもできるという夢のようなバスケットを目指しているように見えるサンダー。ただ落とし穴として、扇動多くして船山に登るといったことや、新しいことを作り上げるのは生半可なチャレンジではないこと、オールラウンドな選手は総じて年俸が高騰してしまい、維持が難しいことなど様々な障壁があります。が、ダイノートとプレスティの新タッグによる生まれ変わったサンダー、その方向性としてはとても面白くやりがいのあるチャレンジとなるのではないでしょうか。

 

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*試合所感

試合内容についてざっくりと触れていきます。個人的にテオを激推ししていたこともあって今日の試合での活躍はそこまで触れて回るほどのことでもないかなと思っていたりします。ダイノートも「たかがプレシーズンの1試合」と言っていますしね。ただ安定感はLAC時代、つまりルーキーシーズンのシェイを彷彿とさせ、丁寧かつ優秀なプレイメイカーであると感じさせるのに十分なデビュー戦でした。IQも高いですし何よりパススピードが早く、テクニカルなユーロ式な感じも好印象か。あとチーム合流がトレードルールの影響で僅かに3日前だったことを考えると連携次第でさらに伸びるかもしれません。課題はDFかな。

あと目を見張る活躍だったのが意外も意外、ディアロとムスカラでした。ディアロは年々良くなってる部分と何も変わってないじゃん!って部分があってなんだかスッキリしない成長だったのですがここに来て全てのスキルが大きく向上しました。特にハンドリングは良くなってました。オールハンドラー編成の煽りかな。元々ムラっけの強いもののDFとリバウンド、速攻は良かったのでそこにハンドリングとシュートが加わればより選択肢が広がります。以前から言っているのですがインサイドプレイヤーに転向してドレイモンド・グリーンやジャスティス・ウィンズローじみたことをやってくれれば化けそうな気がしています。本当にリバウンド強いですし。あとそういえば割とケンリッチをブルーワーカーとして押す声も聞きましたがうーん、今のところディアロが上位互換に感じます。PTはディアロに食われそうですね。

ムスカラはムスカラでシュートは当たりすぎなのであまり気にしませんが、ポストDFがやたらと良くてアダムスより上手くラマーカス・オルドリッチを守っていました。リバウンドは相変わらずですが。鈍足系のビッグマンと対峙するときは積極的にムスカラを起用してもいいかもしれません。しっかりOFでも仕事してくれますし。あとはやたらと気が利くなという印象。スイッチの指摘や再スイッチ、マークマン以外へのボックスアウト、スクリーンフェイクなどちょっとした行為が光っていました。やっぱり好きだムスカラ。

あとやっとロビーがまともに試合に出ました。ブルーの試合でいくつか活躍した試合もありましたが基本的にパッとしない感じでパットンの方が良かったんじゃないかとずっと思っていましたが今日の試合を見た感じやることはやってくれるといった渋いプレイをしていましたね。トラベリングだけは難点でしたが、まぁ可もなく不可もなくといった感じ。

あとフランクの方のジャクソンですがドリブルが好きそうなのは気になりましたがスポットアップしてテオのキックアウトに合わせてくれたりとシューターに近いこともやってくれたりと思ったよりは好印象。でも髪型は前の昔のギタリストみたいな方が好きだったよ。

あとはまぁ巨人すぎるけどまだまだ下手なブラウンやらヒルはやっぱりジョージ・ヒルだなあとかありましたがやっぱり語りたいのはポクシェフスキー。ユーロでの3PARが50.5%もあり、アテンプトの半分が3Pというポクですが、やっぱりシューターなのかなといったデビュー戦の印象です。打点は低めですが、リリースはひたすらクイックで多少ディープだったりプルアップだったりしても決めてくるのでシューティングは初年度から通用しそう。あと意外とドリブルつきながらのスピードが速かったりしましたが、どうも「18歳の子供です」感が強かったなとも。あと前評判通りのDFが見られなかったのでその辺は今後に期待かな?結局今は素材でしかないので、とりあえずNBAに慣れてもらうこと、チームメイトと慣れてもらうことから始めて1.2年後にはスターターを奪うくらいの立ち位置が適正かなとも思いました。どことなく昨年初期のベイズリーみたいな感じ。まぁ彼も1年でこれだけ成長してくれましたし、体格の方も多くの選手をビルドアップさせてきたサンダートレーナーならとは思います。結局のところ、やっぱりユニコーンはロマンだねってこと。

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最後になりますがシェイの話を少し。

まず私が思ったのは身長伸びてない?ってこと。登録上は6-5とテオやディアロ、スコフィールドらと同じ…はずなのですが完全にシェイの方がでっかいんですよ。勿論ウェイトトレーニングによってガタイが良くなっていますのでそのせいかもしれませんが。

実は私はシェイにそこまで期待していませんでした。やれ次のスター候補だオールスターだ25PPGだと飽きるほど目にしたオフでしたがこれからそこまで伸びるかは疑問でした。既に昨季の時点でめちゃくちゃに成長しましたし、今年もヒルやホーフォードから学びつつタンキングの年になればいいかなとそんな考えでした。が、今日のシェイを見て思いました。既に別のステージに到達していると。スタッツ自体は平凡ですし、やっていたことも昨年までとあまり変わりません。ステップバックが上手くなったくらい。しかし増量によって一つ一つのプレイに力強さが生まれており、かつチームメイトの信頼を1番に得ていることも見てすぐにわかる程度には頼られる存在になっていました。また物静かだったシェイが積極的に声を上げてプレイの指示を行なっていたりと、昨季の経験は全く無駄ではなかったと感じさせてくれました。で、考えを改めました。白状するとこれからのサンダーを牽引するのはシェイではなくこれからドラフトにかかる誰かであると思っていました。例えばケイド・カニンガムだとかそういう人です。でもシェイの仕草やプレイを見て、シェイが牽引してくれるのならば別に高順位指名権なんて必要ないと思ったんです。現実は厳しくないのでウェストを現状のロスターで戦い抜くのはほぼ不可能であるとも思います。ただそれでも戦って、ダメだった場合の結果としてのドアマット、高順位指名権獲得なら受容しますが戦わずしてタンクして、その結果として1位指名権を得てカニンガムやジェイレン・グリーン、ジェイレン・サッグスなどを獲得したとしてもそれはシェイに対して無礼であり、やるべきではないことだと感じました。まぁ気持ち的にそれでもカニンガムが欲しいって気持ちもありますが別にウェスタン9位でも1位指名権獲得のチャンスはあるのだからいいじゃないかとも思います。タンクしたところで1や2位の指名権取れる保証なんで何もありませんしね。

つまり纏めると、今年もサンダーを本気で応援するぞってことです。今シーズンもサンダーファンの皆皆様、どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

2020 ドラフトデーで生まれ変わるサンダー

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ここ数日慌ただしい時間を過ごしたプレスティGM。ポールやシュルーダーを始めとしてサンダーに貢献したくれた選手との別れやドラフト指名権のトレードなど凄まじいトレードラッシュでした。

過程を無視して結果だけ考えると以下のようになります。

・加入

アル・ホーフォード

ケリー・ウーブレJr

タイ・ジェローム

ジェイレン・レクー

アレクセイ・ポクジェフスキー

テオ・マレドン

ヴィト・クレイチ

ジョシュ・ホール(2-way)

2022年PHX指名権(1-12プロテクト)

2025年PHI指名権(1-6プロテクト)

・放出

クリス・ポール

デニス・シュルーダー

アブデル・ネイダー

テレンス・ファーガソン

デオンテ・バートン(TO破棄)

・FA

ダニーロガリナリ

ナーレンズ・ノエル

マイク・ムスカラ(PO)

アンドレ・ロバーソン

 

※ちなみに正式な成立は全てガロのFA交渉が終わってからとなる予定です。キャップホールドというシステムの関係。

 

これだけの選手がここ3日間で入れ替えとなりました。脅威の新加入7名と新しく就任したマーク・デイノートHCは管理が大変そうです。また、さらに言えばルビオやグリーンなどもトレードで移動しているため、細かく言えばもっと選手が動いているというサンダー開闢以来のロスター改革となっています。また、あくまで噂ですがウーブレとアダムスのトレードを模索しているとのことで、明後日ののFA解禁以降にさらに動く可能性があります。ガロは移籍確実ですしね。彼はサイン&トレードしてくれるという話もありますがどうなるやら。

と、まぁオフシーズンの総括はまたの機会にするとして今日はルーキーたちについての所感と詳細について書いていきたいと思います。それでは以下が本文になります。

 

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*Aleksej Pokusevski

HT:7-0(214cm※実際7-0より僅かに大きいらしい)

WS:7-3(221cm)

WT:94kg

アレクセイ・ポクジェフスキーと読むらしい。愛称はポクと自分で名乗っていました。

3週間前にサンダーがポクと面接をして以降、サンダーがポクを指名したがっているとの話がThe Ringerから上がっており、今朝方もSports net NYからのレポートでサンダーがポクを狙っているとの報道である程度信じてはいましたが、25位と28位まで彼がスリップすることはないらしくトレードアップが必須の状況でルビオと2つの1巡目指名権を差し出してまで獲得するとは夢にも思わず、自分の中でも衝撃的なトレードアップと指名でした。どれだけポクが欲しかったんだ…

選手としての彼は線が細い7フッターのPF/C、比較対象はクリスタプス・ポルジンギスやトニー・クーコッチなどと言われることが多いのですが私の見解では7フッターのSGといった印象。ドリブルとパスのスキルに優れており、3Pも苦手としていない類稀なプレイヤーです。クイックネスもそこそこ。ユーロでのスタッツは以下の通り。

12試合出場、平均21.3分、FG40%、3P32.1%、FT78.3%、10.0得点、7.3リバウンド、2.8アシスト、1.7ブロック、1.2スティール、1.8TOV

これだけ見るとFG%が低いかなという印象ですが半分以上のアテンプトが3Pなので問題になる程でもないかと。FT%が高めなのでシュート力には期待できそうです。その他のスタッツは21分ということとまだ18歳ということを考えると上出来も良いところでしょう。スタッツの見た目は若手センターそのものです。でもプレイは本当にSG/SFなんだ。

ドラフト後インタビューでは彼のお手本の選手はクーコッチとデュラントとのことで、言われてみると少しデュラント感がある気はします。7フッターのSFで起用されれば本当に面白いことになりそうですがデイノートの判断はどうなるか。あと細すぎるけどビルドアップ出来るのかなということも課題ですね。まず最初の理想はナゲッツのボル・ボルということになりそうです。そこからビルドアップを重ねてアレクセイ・ポクジェフスキーとして完成してほしいと切に願います。いずれにせよサンダー再建2年目希望の星です。

 

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*Theo Maledon

 HT:6-5(196cm)

WS:6-8.5(204cm)

 WT:80kg

日本語表記はテオ・マレドンらしい。ちなみに私は本当はマリドン派。どっちでもいいか。

これまたユーロ勢のプレイヤーで、かのフランス人NBAレジェンド、トニー・パーカーの弟子。昨年デビューのポクとは違って2017年の16歳の時からフランスの有力プロチーム、ASVELでプレイしてきた有望株です。フランスリーグPro Aの新人王やフランスカップのFMVP、フランスリーグのオールスターに選ばれるなど確かな実績を積んでのNBA挑戦です。どこかの17位さんみたいにポテンシャルだけで高い評価を受けているわけではないのです。どこのモックドラフトを見ても20位台前半の評価を受けていたテオですが何故かスリップして34位まで落ちてきました。恐らくですが早めに指名されていたら34位指名はニコ・マニオンだったでしょう。でも予想外にテオが落ちてきたからラッキーって感じで指名したと予想します。何が言いたいかというと34位で彼を獲得できたのは非常にお買い得案件なわけです。

ユーロでのスタッツは以下の通り

46試合出場、平均17.3分、FG42.1%、3P33.3%、FT77.6%、7.3得点、1.9リバウンド、2.7アシスト、0.1ブロック、0.5スティール、1.6TOV

彼のこのスタッツはユーロ最高峰のユーロリーグでの戦績も含まれているため非常に価値の高いスタッツとなります。実際に7位でドラフトされた同じフランス人ユーロ勢のキリアン・ヘイズですらユーロリーグでの戦績はないのですから。

マレドン : 22試合 17.7分 7.4pts 1.8reb 3.1ast FG45.6% 3P36.7% FT68.9%
デニ・アヴディア : 26試合 14.3分 4.0pts 2.6reb 1.2ast FG43.6% 3P27.7% FT55.6%
レアンドロ・ボルマロ : 5試合 7.2分 1.4pts 0.4reb 0.8ast FG33.3% 3P20.0% FT0%
ポクセフスキー : ガベージに1試合のみ数秒の出場
キリアン・ヘイズ : DNP

ルカ・ドンチッチ:33試合 25.6分 16.0pts 4.8reb 4.3ast FG45.1% 3P32.9% FT81.6%

これが各国独自のリーグでの戦績を除いたユーロリーグのみでの戦績になります。こうしてみると9位のアヴディアと比べても遜色ないスタッツを残しています。比較として出してみたドンチッチのスタッツは流石の一言ですが、NBAで既にMVPクラスのプレーをしている彼でもこんなものだということを示したかったので載せました。ユーロリーグNBAと同等程度にレベルが高いのはもちろんとして、ルールが大きく違うのでNBAと比べるとどうしてもスタッツは大きく落ちます。

スタッツ的に既にテオは優秀なプレイヤーであることは説明したのでプレイスタイルを解説しますがサンダーファンならば一言で済みます。

「シェイだ」

これにつきます。細かいところは結構違いますがオフェンスパターンはかなりシェイに近いものを持っています。ただシェイよりウィングスパンなどのサイズが劣るということは大きな差異になってくるでしょう。そのかわりシェイより動きが洗練されていて、一つ一つの動作にタメがないのでよりプロフェッショナル感はあります。どのように起用されるのか謎ではありますがテオとシェイを並べたらどっちがどっちだよってなること請け合いのバックコートデュオになりそうです。来年のサンダーにはシェイが2人いるのだ。

 

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*Vit Krejci

 HT:6-8(203cm)

 WT:88kg

ビトなのかヴィトなのかヴィートなのか。ファミリーネームはクレイチらしいです。

3人目のユーロ勢。ちなみにチェコ人で、今年はセルビア人とフランス人とチェコ人がチームに加入したことになり、ドミニカ人のホーフォード、ニュージーランド人のアダムス、カナダ人のシェイとドートともはやどこの国のチームかわからないような状態に。

上記の2人は1年間みっちり追い続けていたので既知でしたがクレイチはノーマークでした。50人以上スカウティングはしてたんですけどね…指名した瞬間に「誰!?」となりました。調べた限りでは16歳でスペインリーグにてプロデビューしており意外と歴は長いらしい。しかし今年9月に前十字靱帯を断裂する大怪我を負っており、本人含め誰もドラフトされるとは思っていなかったよう。それでも37位と比較的良い順位で指名されるあたりポテンシャルが高いという見込みなのでしょう。昨年同じようにACL断裂で全休ながら16位で指名されたマジックのチュマ・オキキに通じるものがありますね。

彼のスタッツは18試合出場で平均7.6分のプレイ、3.2得点、1.1リバウンド、0.4アシストと微妙ですがFGは61.1%と非常に高く、堅実なプレイヤーであることが窺えます。ちなみに3Pは33.3%と可不可なし。

スタッツからは見えてきませんが彼の最大の特徴はサイズ×スピード×強さを生かした白人らしからぬフィジカルギフテッドなプレイで、ドライブだけならドンチッチのようなドライブレイアップをします。その他は比較にすらなりませんが。あともう203cmのPGってだけで魅力というか魔力があります。190cm程度が平均とされているPGの身長ですが一際大きいサイズでPGをこなす彼には他にはない夢があります。ポクジェフスキーよりも博打要素が強めな彼ですが育てば強力な大型PGとしてNBAに名を馳せることになるでしょう。夢を見る代金に37位指名権。全然許せます。

 

 

 

 

あとは2wayのジョシュ・ホールくんと契約したりだとか推しのコール・アンソニー、タイラー・ベイ、ジェイデン・マクダニエルズらの話とかもしたかったのですが長くなりすぎるので今日はこの辺で。ではまた近いうちにお会いしましょう。

 

 

 

サンダーvsロケッツ 反省会vol.2

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ゲームレポートが挙げられずに申し訳ありません。理由はこの試合を3回見直していたというだけのとるにたらない理由ですが…

未だにウェストブルック不在のシリーズで第5戦も欠場予定という状況でありますが先日の第4戦を抑えたことによってシリーズタイに引き戻したサンダー。ロケッツ快勝のムードであったシリーズの行方が再び岐路に向かっています。

第3戦ではシリーズで初のクラッチを迎え、シーズン中から一貫して積み上げてきた経験が活きて勝利を収めたサンダーでしたが、ギリギリの綱渡りに成功した、ある種運の良さで凌いだ部分が大きく、サンダーの真価が見られたかといえばそうでもなかった3戦でした。そこで今日は前回反省会で申し上げたドノバンの改善、ハーデン以外の3Pのチェック、TOVを引き出すことなどが第4戦で改善されたのかをメインに議論していきます。

 

*反省会vol.2

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さて反省会ですがサラッと4戦でサンダーのやっていたことのおさらいから入ります。

まずサンダーが徹底していたのはロケッツのオールスイッチに対する攻略です。というのもロケッツのオールスイッチは昨年まで取り入れていた(今でもちょいちょいやりますが)サンダーのオールスイッチDFとは異なり、ピックが行くと問答無用でスイッチするというもの。全員がDFに自信を持っていて、マイクロボールを採用しているロケッツだからこその戦術ですが、それはマッチアップの相手を簡単に選べるということでもあり、サンダーの3ガードたちがそれぞれやりやすい相手を選んでドライブの仕掛けを組んでいきました。意外とドートのピックが増えていたのはこのためです。全員に一貫して狙われたのはベン・マクレモア。3Pは優秀ですがイマイチDFが対応し切れていない彼は3ガード全員に狙われて早々に蚊帳の外へ。ここまで24分、14分、17分と出場していたマクレモアは僅か8分の出場に留まりました。3Pの決定力はロケッツの中でも際立っているので早々に追い出せたことは一つラッキーでしたね。そうなるとオースティン・リバースを使いたくなるのかと思いきや、OFを考えるとそういう訳にもいかないらしく、彼もまた15分の出場に留まっていました。ぶっちゃけこれはダントーニHCのミスのようにも思えますがどうなんでしょう。別に狙われてたわけでもないような…

そんなこんなでスイッチの穴をつく戦術でドライブを繰り返したサンダーでしたがこの日絶好調だったシュルーダーが全く止まらず、そう言った意味ではサンダーが楽な展開となりました。もちろんロケッツがクイックネスに対応できてなかったりマクレモアやグリーンを相手に選んでいたこともありますがそれを差し引いても好調なのでした。シーズン中は結構な仕事をしてくれていたのでプレイオフにも期待していたのですが全くもって微妙だった初戦と第2戦だったのですがキャリアハイを更新した第3戦から調子を上げてきている節もあり、自分の得点できるポジションを見つけているのかもしれません。若しくは俗に言われるパパブーストか。

話は戻ってTOVの引き出しですがロケッツが勝手にミスしてくれている場面も多く、スティールは6でしたがTOVは14と及第点ではありますがもっと引き出せたろうというのが本音です。ちなみにサンダーも14とアドバンテージは無し。ロケッツはクラッチTOVが多かったと評されていますが実際は4つでサンダーが5つとなっており、ここでアドバンテージを取れなければ勝ち抜けることは難しく、サンダー側からより積極的にスティールとテイクチャージを狙っていく必要があると考えられます。

次に3P対策についてですが、前半はまるで変化がありませんでした。試合を通して撃たれた58本の3Pのうちワイドオープンで32本ものアテンプトを許しており、これまた43.8%の確率で射抜かれています。しかもうち19本は前半でのアテンプトということでいかに前半にワイドオープンを許したのかが分かります。それでいて悪夢のような8連続3Pを許した3Qでは5本と少なめに抑えているのはかなり皮肉な結果です。ハーデンに15アシストを許したことから鑑みてもやはり3Pに対するコンタクトが緩すぎると考えられ、抜本的な対策が求められます。ただゾーンを織り交ぜたりしていた後半は、追いつききれていないとはいえワイドオープンが減ったことも面白い結果になりました。ちなみにコンタクトを頑張っていたのはシェイとペイズリー。要するにガロとポールが追いつけていなかったのを運動量でカバーした形に。ポールはその時間もいましたがマッチアップがグリーンだったり変則的な動きを取り入れてあの手この手でサボっていましたね。まぁ35歳という年齢とクラッチでの負担を考えると仕方ないところですが。あ、ちなみにガロは単純に足が遅いのでカバーが間に合っていないのでした。サイズはあるので間に合えば脅威なのですがね。間に合えば。

またドノバンの仕掛けた改善点ですが意外なほど何もなく。違いといえばスモールに味を占めたことと3ガード+ベイズリー&ノエルの機動力ラインナップを起用してきたことくらいですかね。ロケッツに対応したラインナップをドノバンが組むのはここにきて初めてのことで、全く対策していなかったサイズと機動力を兼ね備えたラインナップに面食らったダントーニHCが逆に慌てた采配をしていたかなと言った印象。急にほぼ6人ローテーションになってしまったロケッツはハーデン頼みの色が増してクラッチに持ち込まれてポールの十八番に刺されたといった試合展開になりました。ハーデンは流石の能力ですがあの手この手でピックを振り切ってフェイスガードをしてくるドートがいるのでハーデン頼みになると閉塞感が出てきてしまうのが上質なロールプレイヤーで固めたロケッツの戦術で、それを壊して勝手に暴れまわってくれるウェストブルックもいないとなるとエリック・ゴードンに頼るしかないよねって話になります。事実ゴードンは2ndハンドラーとして十二分に活躍しましたが周りに適切なタイミングで捌けるわけでもなく、ハーデンがオフボールで動き回ってくれる訳でもないのであまりアクセントとしての変化はなかったかなというのが昨日のロケッツOFでした。タフショットの連発を含む8連続3Pは非常に危険な攻撃でしたが流動性がなく、むしろ単発のOFだっただけに一度止まったらとんと入らなくなるのは自明の理なのでした。それこそハーデンの絶好調で全くステップバックが落ちない日くらいでないと続かないよね。上述のオープンショットの本数が減少していたことにもかかってきますがサンダーの狙っていたドリブルをさせてのショットが増えてきたという狙い通りの展開に持ち込めたのが大きかったと思われます。前半は24本中ワイドオープンが19本、オンドリブルが僅かに4本に留まったことを考えると後半は34本中ワイドオープンが13本、オンドリブルが13本と同量まで持っていったDFの狙いがうまくハマったと言えるでしょう。誰が狙ったのかは分かりませんけど。ドノバンだといいなぁ。

 

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クラッチ・サンダー

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シーズン中からずっとクラッチに強かったサンダーは前戦の経験からクラッチシチュエーションに勝機を見出しました。多分ドノバンとポールの協議の結果でしょう。あの手この手でサボり続けたポールは前半僅か4得点に止まりました。別に特段抑えられていたわけでもないのですが。しかし後半にロケッツに連続得点を許し点差を広げられるとすかさずポールが自ら切り込んでいとも簡単に2点ずつ返していきます。たまにエンドワンなんかとったりもして。3Qには14得点、4Qには8得点を挙げて後半のみで22得点を叩き出し、現役最高のクラッチプレイヤーである様をまざまざと見せつけました。前半に積極性を欠いていたのはもちろんシュルーダーやシェイが効果的に機能していたこともありますがやはりこの布石だったと考えて良いでしょう。

ポールは意外と体力温存のために隠れて休みがちな感じですがクラッチでここまでのパフォーマンスができるのならばまぁそれもやむなしかといった雰囲気のドノバン。粘って粘ってクラッチで勝利をもぎ取るといったゲームプラン通りにポールを動かしました。でもハーデンのクラッチも怖いのでできるのなら先行逃げ切り戦法の方が良いと私は思いますが勝てば官軍。でもやっぱりクラッチに毎試合突入していては心臓が保たないのでなんとか点差を積んでおいて欲しいというのが心からの願いです。でもドノバンとポールのゲームプランはクラッチにもつれ込むことが狙いになるんだろうなぁと感じさせられた試合だったのでした。基本的に戦術が上手くハマった試合でしたがドノバンが冴えていたかというと疑問符。基本的に選手任せのコーチなので出した3ガード+ベイズリー&ノエルのラインナップとスモールボールが自分達でロケッツに対してやるべきことを見出してやり遂げたように見えるばかりなのでした。ちょっとドノバンに対する信用の無さが色眼鏡になっている気がしますが。はぁ2016ドノバンは何処へ行ってしまったのか…

あとはアダムスどうこうやリスタート速度や以外にとられてしまっているリバウンドなんかについても語りたいところですが既に長すぎるのでこの辺で。次戦は勝った方が王手をかける最重要と言っても差し支えない試合となり、激戦が予想されますが、連勝の勢いそのままに見事勝利を収め、3年ぶりのプレイオフシリーズの勝利に王手をかけることを期待しています。サンダーは天王山を超えられるか。いざ勝負!

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サンダーvsロケッツ 反省会SP

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謎の駆け足コラム

巷ではルカ・ドンチッチのミラクルショットだったり、シクサーズの行く末だったりの話題に沸いているプレイオフですがサンダー的にはやはりドートのDF力が世界に広く認知されたことが話題でしょうか。つい先日までドラフト外ルーキーの2wayプレイヤーであったドートがハーデンとマッチアップし、2試合合計でFG3/21の14.3%、3P2/16の12.5%に抑えたことは世間を驚かせました。確かにドートは凄いですが、チームとしてはどうなの?っていうと実はあまりよろしくなく、その反省を少しつついていこうというのが本日の命題となります。

 

 

*反省会

先程も触れましたが、ドート凄く良いのですが、ハーデンの得点が止まっているわけではなく、それだけドートが頑張ったのにも関わらず第3戦では38得点7アシストを許しました。確かに私が以前申し上げたようにハーデンに30失点〜を許すのはある意味計算済みで、それでも勝てるゲームプランを遂行すべきであるとしましたし、事実それで勝利を挙げたのは事実なのですが、不安要素として、ドート以外がマッチアップした際にハーデンにFG59.1%という恐ろしい数字を許してしまっている点に不安を覚える必要があるでしょう。つまるところ、「ドートのみハーデンを抑えられるが、他のプレイヤーでは全く歯が立たない。」ということになります。つまりドート不在時やスイッチを強いられた際にどうしてもハーデンに自由にされてしまうという欠陥があるということであり、ハーデンがオンコート時にはドートを出していなければならないというラインナップの不自由に加えて、ドートが先にバテてしまったり、ファウルトラブルに陥った際に打つ手がないということになります。これは非常に危険な状態で、ハーデンというドローファウルの達人相手にいつまでファウルを犯さないDFが出来るかも分からない上にスイッチされたらほとんどなすすべてがなかったり、ドノバンお得意の3ガードラインナップを使えなかったりする点で大きな穴となります。但し、注意してほしいのは決してハーデンに意識を向けすぎてはならないという点です。これをしたせいで第1戦大敗したことを思い出せば愚策であることは明々白々です。つまり、ハーデンを1人で守ることは絶対条件になってきます。勿論ヘルプは多くても1人。ということを考えるとやはりハーデンにドートをぶつけて1人に託すことは前提として、スクリーンに対してなるべくスイッチしないことが求められるわけです。

ロケッツのオフェンスの何が怖いかというとハーデンは当然ですが、そこを注視すると簡単にオープン3Pを作られてしまうことにあり、3Pは単純に通常の1.5倍の効率を誇ることから、50%で2Pを沈められるよりも35%で3Pを沈められる方が効率が良いのです。それは子供でも思いつくような単純な論理ですが、単純であるが故に強力で、ここまでロケッツに52.7本の3Pを放たれて18.0本の成功。つまり34.4%の確率を許しており、単純に計算し直すとFG51.6%もの効率での得点を許していることになり、特にFG全体の6割以上を3Pで占めているロケッツということを考えると印象以上の破壊力があることになります。また、ロケッツで最も3Pを放つハーデンをドートが抑えていることを考え、ハーデン以外のメンバーに決められた3Pのデータを見ていくと、43/121の36%で沈められており、3Pに関してはハーデンよりもその他のメンバーに手を焼いていることが分かります。ちなみにコーナー3Pは21/45と47%もの確率で決められてしまっており、元々NBAでコーナー3Pが効率の良いシュートであるという認識を持ってしても高すぎるFG%を与えてしまっているのが現状です。また、反対にトップなどのその他のゾーンからは29.2%と意外と抑えられているという事実は光明かな。要約すると、サボーティングキャストにコーナー3Pを決められすぎ!ということになりそうです。

あとDFで問題視されるのがTOVを与えられていないこと。第3戦ではTOVを16もの数を引き出し、勝利を収めましたが、平均して5〜6つのTOVを犯すハーデンが1つ、また、それ以前の2試合はそれぞれロケッツが7つ、サンダーが12つの初戦とロケッツが7つ、サンダーが13つの第二戦と大きく上回られており、ハーデンから引き出せたのは3つと0つのごく僅かな数にとどまりました。TOVはそれを与えた時点でこちらのポゼッションとなるかなり大きなファクターであり、場合によっては速攻でイージーシュートにも持っていけるものであるため、相手に多く、自軍に少なくの理想を忠実に守ることが求められます。しかも1ポゼッションの重みが増すプレイオフともなれば尚更で、いかにTOVを多く引き出すDFが出来るかが今後一つのキーになってくることは間違い無いでしょう。

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次にオフェンスの話ですがちょっと無策すぎます。第3戦ではたまたま3ガードがそれぞれ調子が良かったから良いものの、抜本的に改善が求められます。が、1戦2戦から3戦のうち変わったところは見当たらず、落胆の色が隠せないのが本音になります。相変わらずのドノバンクオリティです。特に問題となるのがボールを止めすぎていることで、シーズン中平均で286.8回のパスを回していたサンダーはプレイオフでは僅かに276回、更に言えば負けた2試合では実に269.5回まで落ち込んでいることが分かります。パスの回数が減ればそれだけ個人の裁量任せになるのが常であり、オールスイッチDFで対応してくるロケッツの強固なDFをドリブルで突破するのは難しく、またアダムスがストレッチできていない以上、ペイント内でのDFがより強固になっていることも否めません。ということでムスカラ使って緩急をつけようよと割と本気で考えていますがドノバンがどうするのか。

とりあえずアダムスがいる場合には基本的にパスで崩すオフェンスが求められることになりそうです。ピックもオフェンスリバウンドもポストアップも警戒されて止められてしまっていますしロケッツ相手にアダムスを綺麗に使うのは少し荷が重いかもしれませんね。単純にガロがCのスモールラインナップが機能していたこともあり、少しラインナップについては検討の余地があると思います。あまり良い判断ができた試しがないドノバンのラインナップ編成ですが、元来奇策を用いて勝ってきたHCであるだけにどうなるのか…このまま変更なしだったら2連敗してシーズン終了の可能性は非常に高いだけに注目が集まります。

あ、良い判断ができていないと非難しましたが通用しないと見てすぐにディアロを干したことだけは好判断かな。

いかんせんモチベータータイプかつディフェンシブなコーチだけにマイク・ダントーニ氏との差が目立ってしまっているかなといったここまでのHC同士の戦いだったのでした。

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・総評

あとはまぁポストの活用法やFT入らなすぎ問題など色々ありますがどうにかこうにかロケッツに対するアジャストは出来つつあるので上手く隙をついて白星を取りたいところですね。

本当の戦いはウェストブルックが復帰してからという面もあることから、どうにかウェストブルックを引っ張り出すことが当面の目標になりそうです。それにはやはりタイゲームに持ち込むことが求められるでしょうし明日のゲームもマストウィンの状況が続きますね。さて、どのようなGame4が展開されるのでしょうか。ティップオフは明日5:10〜となります!

 

8/19 サンダー@ロケッツ Playoffs 1st Round Game1

 

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大敗のショックから普段以上にお見苦しい文になっております。ご容赦ください。

さて、昨日色々プレビューしたわけですが結果から言いますとあまり当たっていなかったかなという印象。いやむしろ当たっててダメだったのかもしれません。とかくサンダーは試合を通してインサイドを使うこととハーデンを止めることを狙いに行っていることは分かりましたがなんともフワフワしており、この日欠場のドートに代わりスターターを務めたファーガソン、シュルーダー、ロバーソンを当てていきますが基本的にハーデンがボールをキープしている間にボールサイドに寄りすぎる形になるのですが、また寄る割にヘルプに行かなかったり3人寄ってしまったりと少し混乱していたようで、ワンパスでキックアウトでコーナーに捌かれて、ワイドオープンで撃たれまくるという事態を引き起こしていました。また、ヘルプポジションにつくのが鈍足のガリナリだったりアダムスだったりそもそもカバーする気があまりないポールだったりしたので相当ロケッツは楽に3Pを撃てた形になりました。結果20/52で3Pを許す形になりました(ワイドオープンも調べようと思ったのですがまだスタッツが載っていなかったので保留)。

これは昨日のクリッパーズマーベリックス戦においてクリッパーズがルカ・ドンチッチに対して行っていた対ドンチッチシフトに似ており、外に捌かれて3Pを決められすぎてしまったことも類似します。ただサンダーはハーデンからTOVを引き出せていないのでそういった意味では完全に作戦失敗ですが。

対ハーデン意識過剰状態に陥っていたサンダー。タスクフォーカスをしすぎでむしろタスクフォーカスができてないという本末転倒の形は試合を通して続きました。だったらシュルーダーやファーガソンとかにフェイスガードさせて4人それぞれスイッチマンツーマンさせたり、なんだったらWチームに行った方が余程潔かったかと思いました。ボックスワンに近い形でハーデンと周囲を止めに行った結果、どっちつかずで二兎追うものは一兎も得ずを地で行っていたサンダー。結果的にチームで50-40-90に近い形に持っていかれて勝負アリとDFが振るわなかった試合となりました。とにかくワイドオープンで撃たせすぎ、これに尽きるGame1でしたね。

 

 

・策士策に溺れ、船頭多くして船山に登る

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まぁ先に書いたことも実際は策士策に溺れたお話なのですが、やはりドノバンの采配も含め、彼だけでなくポールもシュルーダーもシェイもガロもアダムスも策に溺れていた印象を受けましたし、さらに船頭多くして船山に登っていたように見えました。特にシュルーダーの空回りは酷いもので、ボールホグが多い割に攻めきれないのでオフェンスのリズムがどん詰まりに。ただ彼はハーデンとのマッチアップをそつなくこなしていたので総合的に見ると責められないかな。ただチーム最低の-19を記録していることから分かる通り、彼が今日の試合を崩してしまったことに疑いの余地がなく、再起してくれないことにはシリーズが早々に終わってしまうことも考えられます。バブル入り後に早々に離脱していたことや、再開後の乱調は確かに不安要素でしたがそれにしても浮きすぎで、彼が持ちすぎるために影の薄くなっていたシェイを含めてベンチに座らせておいても良かったくらいの出来なのが本当につらい。

また、チームの方針だとは思いますがガロとアダムスのインサイド陣が高さで積極的に仕掛けて得点を量産していたのは数少ない良い点で、2人で46得点を稼ぎ出し、またファウルも多く稼ぎだしてオフェンスを牽引しました。が、なまじロケッツのラインナップが小さく、ここで勝負したくなってしまうのが人の性なのですが、流石にそれは簡単に読まれてしまうので、ポストアップの回数を考えればめちゃくちゃ有効だったとも言えず、むしろガロの好調に助けられた形。またポストアップでペースを落とす作戦をドノバンが実行していましたが結果的に24秒ギリギリに自分のリズムではないタイミングのシュートを撃たざるを得なくなっており、自滅といった形でロケッツにペースを握られてしまったことから、やはりこれも策に溺れたと言えるでしょう。それ以降は少しだけですがテンポを上げ、オフェンスが機能するようになったことを見れば尚更です。

 

 

・守れるロケッツ、守れないサンダー

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序文に書いたことの繰り返しになってしまいますが、これに尽きる試合でした。前半なんかはOFのリズムが掴めずにFGのミスからロケッツの良い形のOFが始まり、悪循環になっていたということもありますが、後半などにOFのリズムが生まれ、ロケッツを射程圏内に捉えた時にも、トランジションの虚を突かれ、タッチダウンパスでダニエル・ハウスにオープンでダンクを献上するなど集中を欠いたDFをしていたサンダー。その裏には対ハーデン意識過剰DFもありますがシェイとポール師弟がまるで走れていないことも大きく、トランジションで全く止められなかったことや、単純にシェイのDFが、フィジカルにリムを攻めてくるエリック・ゴードンのドライブに無力だったり、元から狙われがちのガリナリがグリーンを全く止められなかったこともサンダーに大きく影を落としました。こういう時に使いたいのがドートやロバーソンなのですがドートは不在、ロバーソンは前戦で28分も起用しながら今日は僅か3分程度の起用と一貫性がなく、リズムを取り戻せといってもこの起用では難しい状態にありました。あ、当然ながらディアロは全く守れませんよ。というかディアロに関してはプレイオフ、特にハッスルプレイを武器とするロケッツ戦でも起用しているのがかなり謎で、彼の良さであるSLと跳躍力を武器にしたPFじみたプレイは全て掻き消されており、通用する武器が誇張なしで0という状態。余程ネイダーやロバーソンの方が通用するでしょう。育成目当てにしてもちょっとよくわからない起用で、RSのローテをそのまま惰性で続けているとしか思えないのでした。

 

 

・総評

不満は尽きない内容でしたが、それを愚痴っていても仕方がないので悪いところをどう改善してシリーズの勝利につなげるか、次戦の巻き返しに期待したいところです。ディアロ、ロバーソンの起用法、DF意識の低さ、ハーデンを完璧に抑えつつ周りも抑えようと欲張らないこと、シュルーダーが持ちすぎないこと、矢継ぎ早にボールを動かすことと適当にざっと挙げただけでこれほど課題がありますが、今季のサンダーは修正と粘りで成功を収めてきたのでしっかりと自分たちのストロングスタイルを貫いてくれると信じています。

P.S

ハーデンの得点に関しては35失点くらいは覚悟の上であまり気にしない方がいいと思います。ステップバック3Pは止める方法がないので…2ndオプションのウェストブルックも不在ですし(次戦どうなるかは分かりませんが)、50失点とかさえしなければ十分に勝てる数字ですしね。

あとベイズリーの3Pはただのマグレではないことが証明されつつあり、シリーズの行方を左右するXファクターになってくるかもしれませんね。あとはドートの早期復帰を祈るのみです。

 

サンダーvsロケッツ シリーズプレビュー

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さて、サンダーのレギュラーシーズン日程が全て終了ということでついにやってきました。そう、ポストシーズンです。ポールが最近口すっぱく話しているようにサンダーのプレシーズンでのPO進出確率は僅か0.2%とされており、過小評価されていたサンダーでしたが見事にそれを跳ね除けて激戦のウェスタンカンファレンスで5位をマーク。勝率も61%と50勝相当とむしろ昨年より実績を伸ばしています。そんなサンダーのシーズンだったのですがそもそもは昨年のオフにジョージとウェストブルックを放出したことから始まっておりその片方であるウェストブルックのトレード先、ロケッツとのプレイオフシリーズを争うことになったことは運命的と言えるでしょう。また、ポールもロケッツに親しい友人がいたり、ハーデンとの不和などの遺恨もあったりとストーリー性が色濃く、プレイオフ1stラウンドにおいて最も注目を集めるカードの一つであることは周知のこと。

そんなサンダーとロケッツのシリーズですが、世間でも評価が割れており、一進一退であるとの意見が強いため、やはりサンダーにも勝機があるシリーズと思われます。実際にシーズン成績は2-1とリードしておりますがいずれもトレード前とロケッツのスーパースモールボールと相見えたことはなく、不安要素が多いのもまた事実。そんなロケッツ戦をデータと睨めっこしながら軽くプレビューしていこうと思い、記事にした次第です。それでは本題へ。

あ、ちなみにウェストブルックの欠場やドートの欠場に関してはあまり考えずにいきます。どちらも1試合程度らしいので。

 

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イノベーションvsオールドスクール

このシリーズを分けるのはやはり両チームのスタイルの差だと考えます。センターレスという革新的な戦術を擁するロケッツとオーソドックスバスケットを展開するサンダー。1番の違いはやはりセンターの差で、ロケッツのセンターは6-7のロバート・コビントン。実質コンボフォワードの彼とかなりのアンダーサイズでありながらハッスルプレイと正確なコーナースリーでリーグ屈指のストレッチ4となったPJ・タッカーが互いにカバーしながらインサイドを守ります。ベンチから出てくるのは元OKCのグリーン。それぞれがインサイドで体を張っていますが最高がグリーンの6-8、スターターならコビントンの6-7とやはりアダムスに対抗できるのかといった部分が大きなファクターとなります。逆もまた然りで、コンボフォワードとのマッチアップになるアダムスはどうディフェンスすれば良いのかといった部分も命題で、5outの布陣に対して2-1-2ゾーン的に守るのが予想されますがオープン3Pが防ぎにくいという欠点もあり逆にアダムスが足を引っ張る形にもなりかねなく難しい判断が強いられることになるでしょう。ここでデータを見ていきますと、トレード後にロケッツと対戦した各チームのスターティングセンター全19人のうち16人が二桁得点、またそのうち11人が50%以上のFG%を記録しているなど、インサイドを守るのはやはり厳しい印象を受けます。また、トレード後のチームリバウンドは100ポゼッションあたり僅か37.8と30チーム中最下位となっており、やはりインサイドはロケッツにとって不安要素と言えるでしょう。あとはサンダーというかアダムスとノエルがどうロケッツにアジャストしていくかが問題となります。アダムスはポストアップのPPP(ポゼッション当たりのポストアップ効率)が今季0.89と微妙な数字で、ノエルはそもそも記録なしとセンター陣のポストアップは相当怪しく、上述したロケッツが止められなかったセンターたち(ジョエル・エンビードやアンソニーデイビス、モントレズ・ハレルなど)と比較するとポストアップポゼッションも効率も少々物足りなく感じます。まぁクリスタプス・ポルジンギスやディアンドレ・エイトンなんかはアダムスと比較しても一層低いPPPなのでロケッツ相手ならばかなり効率的に仕事ができる可能性はありますが。

また、PPPの話をする上で避けて通れないのがガリナリの存在で、ガリナリはリーグトップクラスのPPP1.04を記録しており、ポストアップ毎に1得点を期待できるという超効率ポストプレイヤーといった特性上、マッチアップ相手次第ではかなり有効なオプションになる可能性があります。どうにしろサンダーとロケッツのシステムの差異を考えるとペースを落とさなければならないのでポストゲームが有効に働くかが大きな鍵を握ると考えて良いでしょう。インサイド陣には一層働いてもらう必要がありそうです。

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借り物の画像ではありますが、上述したペースを落とす必要という根拠はこれです。サンダーとロケッツではペースがおよそ4.5も異なり、サンダー優位の展開にするには24秒じっくり使うハーフコートバスケットが有効となると言えます。DFではファストブレイクを出されないようにすることと、ハーデンに時間を使わせることでペースを落とし、サンダー寄りにしていくことが求められます。

また、トレード後、12-10を記録しているロケッツですが、それまでと比較して5本多くの3Pアテンプトをしており、勝利時には37.6%、敗北時には29.3%とより一層3Pの調子に左右されるチームになっていると考えられます。

次いでサンダーの3Pに対するDFを見ていくと、被3P%は34.0%とリーグ2位タイ、vsロケッツのシーズン中の3試合平均ではなんと23.3%とリーグで最もロケッツの3Pを抑えていたチームとなりました。重ね重ねになりますがあくまでトレード前となりますが。

また、これらのことは最大の争点となるであろうvsハーデンについて深く関わってくることになりそうです。というのもハーデンは今季平均12.4本もの3Pアテンプトがあり、彼の調子次第で上で示した被3P%がひっくり返ってしまう可能性を孕んでいるからです。

・ハーデンvsサンダー

  • 3試合
  • 平均34.1分出場
  • 28.7得点
  • FG32.8%  (7.3/22.3)
  • 3P15.0%  (2.0/13.3)
  • FT90.0%  (12.0/13.3)
  • 5.0リバウンド
  • 5.3アシスト
  • 3.0TOV

今季のvsハーデンの記録です。FG、3P共に散々ですがFTはやはりと言うべきかかなり稼がれており、TOVも意外と誘発できていないことが分かります。しかし今季平均34.3得点を挙げているハーデンを28.7得点に抑えているのは立派でしょう。シュートに関してはサンプルが3試合しかないため不調なだけである可能性もありますが、優秀なペリメーターディフェンダーがいるとも考えられるのでそこは後々証明されることでしょう。ちなみにウェストブルックは3Pこそ入らないものの29.0得点、FG59.1%と驚異的な効率で得点を挙げており、止められるかどうかはわりと時の運です。シェイはウェストブルックのフィジカルなアタックが苦手なようで15/27で55.6%でウェストブルックとのマッチアップで失点しており、ウェストブルックの対処も一応考えなければならないでしょう。とはいえリムアタックしか選択肢がないため優先して考えるべきはやはりハーデンかと。

そんなこんなで次にハーデンのマッチアップの結果を見ていきます。

・ハーデンvsドート

  • 1試合
  • 平均7分55秒マッチアップ
  • 平均32.6ポゼッション
  • 8失点
  • 2与TOV
  • FG15.4%  (2/13)
  • 3P9.1%  (1/11)
  • 与FT4

・ハーデンvsファーガソン

  • 2試合
  • 平均4分マッチアップ
  • 平均16.4ポゼッション
  • 8失点
  • 1与TOV
  • FG38.5%  (2.5/6.5)
  • 3P42.9%  (1.5/3.5)
  • 与FT2

・ハーデンvsシュルーダー

  • 3試合
  • 平均1.7分マッチアップ
  • 平均7ポゼッション
  • 3失点
  • 0.3与TOV
  • FG14.3%  (0.3/2.3)
  • 3P20.0%  (0.3/1.7)
  • 与FT2

・ハーデンvsロバーソン(17-18)

  • 1試合
  • 平均6.4分マッチアップ
  • 平均23.2ポゼッション
  • 5失点
  • 1与TOV
  • FG20.0%  (1.0/5.0)
  • 3P0.0%  (0.0/3.0)
  • 与FT3

先程も申し上げたようにサンプルが少ないのですがざっと並べても対ハーデンに強いガードが多いことが分かります。期待値的に言うとドート、(ロバーソン)、シュルーダー、ファーガソンの順かな。ドートが出場出来なさそうな明日の試合はファーガソンがマッチアップしそうな気がしますがロバーソンの方がいいような気もします。とりあえずめちゃくちゃなことをして貪欲に得点を狙ってくるハーデンは止めようがないときには本当に止めようがないのでそうなってしまったらお手上げですけど基本的にハーデンとマッチアップして止められる選手が4人もいるということで、彼らが入れ替わり立ち替わり40分くらいマッチアップしてくれればある程度の対策にはなりそうかなといったお話なのでした。

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・総評

長くなってしまったのでこの辺にしますが、スモール対スモールになった場合にセンターは誰がやるのか(ベイズリーをここ最近5番で起用してスモールを試していたのは布石だったのかな)とか、結論ウェストブルックはどう止めたら良いのかとか元HOUで戦略を知り尽くしているポールのアドバンテージはどのくらいあるのか、またプレイオフで自ら撃つシュートを増やして毎年PPGを上げているポールについてやベテランながらプレイオフ経験に乏しいガロの不安について、ネイダーとムスカラ使われるのかな問題など語りたいことは山ほどありますがそれはまたお預けということで。

ポールとガロを除けば殆どがU26、NBA経験3年以下が過半数というかなり若いロスターで不安も期待も大きく、また相手がロケッツということで色々な意味で楽しめそうなプレイオフですがそろそろ1stラウンドを超えるところも見たいなぁというか少しでも長くサンダーの試合を楽しみたいなという感じで若手の成長やポールとガロ等のベテランの燻銀の働きに期待しつつ、気楽に応援していきたいと思います。どんな結果になっても満足ですがやはりやるからには勝って欲しいということで申し訳ないですけどウェストブルックには涙を呑んでもらいたいところ。初戦は明日となっております。またウェストブルックとドートが欠場となっており、その埋め合わせを両チームがどうするのかも注目の一戦となりそうです。