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デニス・シュルーダー解剖論

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ディフェンスはハートだ

ポール効果が叫ばれる今季のサンダー。確かに影響はそれなりにあるけれど全てポールのおかげかというとそうではないというのが55試合観てきた私の持論。サンダーを変えたのは間違いなくウェストブルックとジョージの放出の方でルールとか全てを無視して昨季のチームにポールを加えてもこういう方向には進まなかったと思います。しかし全くもって貶めたいわけではないのでこの辺にしておきますが。

なぜシュルーダーの記事なのにポールの話から入ったかというとポールの指導によって変化したという論調を目にするからです。確かに影響を感じさせてくれる部分もあるけれど(CP Swingやビハインドレッグスルークロスオーバーなど)シュルーダーの今季の躍進の根底にあるのはシュート率の改善とDFなんです。

とりあえず昨季と今季のスタッツを

昨季

15.5pts,3.6reb,4.1ast,0.8stl,0.2blk,2.2tov,FG41.4%,3P34.1%,FT81.9%

今季

19.3pts,3.8reb,4.0ast,0.6stl,0.2blk,2.6tov,FG47.2%,3P38.7%,FT84.4%

こうして見るとトラディショナルスタッツだけでも一目瞭然ですが得点効率がジャンプアップしており、それに伴って得点が伸びているというのが分かります。

また、開幕から12月までの19試合の序盤戦のスタッツを参考資料として追加すると

15.5pts,3.9reb,3.9ast,0.8stl,0.2blk,2.9tov,FG44.2%,3P29.7%,FT76.5%

2P%こそ悪くないものの昨季とほぼ代わり映え無し、3P%はかなり低いところに留まっており、序盤戦は苦労していたという印象をスタッツからも見受けられます。ケミストリー構築などの問題もあったのでしょうがシーズン途中までこの程度に収まり、成長が停滞していた彼が12月に入ってからの35試合でこうなりました。

21.4pts,3.8reb,4.1ast,0.6stl,0.2blk,FG48.6%,3P42.9%,FT87.4%

うーんオールスター

シーズン途中からの大幅なシューティング改善により6MOTYを叫ばれるようなスタッツに急上昇。まだ26歳と若いとはいえキャリア7年目のベテランがシーズン途中からの急成長というのはあまり記録にない珍事ではありますが何はともあれ彼の成長と共にサンダーはプレイオフチームへと返り咲くことに。ちなみに12/1以後のチーム戦績は25-11。日程に恵まれたこともありますがサンダーをこの位置に持ってきている立役者の一人であることは明白で、よもすると彼が最も重要な要因かもしれません。

彼のこの好調の要因は様々なことの組み合わせで起きたことだと思いますがいくつか考えていきます。まず昨季との比較をしたときに一番違うのはどこかというとウェストブルックのバックアップからポールのバックアップになったこととスリーガードシステムの導入です。というのもシュルーダーはホークスでの5シーズンでペースが99を上回ったことがなく、比較的スローなテンポが展開されると言われていたイースタンカンファレンスからクイックなウェスタンカンファレンスへの順応に苦労していたのではないかとの推測が立ちます。これはジョージがペイサーズからサンダーに来た初年度に度々口にしていたことでもありました。昨季のシュルーダーのペースは104.30と急にかなり早いペースでの試合に放り込まれたような状況であったのが、今季にポールがウェストブルックに代わって加入したことによりペースが激減し、今季のサンダーのペースは99.15まで低下しました。これによってシュルーダーの慣れ親しんだペースに変わり、彼本来の力が発揮しやすくなったということもあると言えるでしょう。また、シュルーダーの得点は伸びたものの、ファストブレイクポイントが2.5→1.8と減少、ペイント内得点が5.9→6.8への増加ということからハーフコートオフェンスの効率化がなされていることが分かります。更にアドバンススタッツを見ていくと被アシスト率が上がっている事にも注目が必要です。昨季比で2Pでは16.5%→35.1%、3Pで79.8%→85.3%と大きく増加しており、オフボールムーブがかなり上達していることも証明しています。実際に2ドリブル以下でのフィニッシュ率を40.0%→54.1%と無駄なドリブルの削減にも成功しており、これによってドライブからのFG%を45.6%から49.7%へと伸ばしています。つまり今季のシュルーダーは昨季に比べて無駄が少ない効率の良い選手へと変貌したことになります。役割の変化に追随してボールを持つ時間も増えたということもお知らせしておきます。ポゼッション毎のボールタッチ時間が4.4秒から5.0秒へ伸びていますが、ボールホグの傾向になっているというわけではなく、実際のタッチ時間/ボールタッチ回数では4.81秒から4.13秒に減らしており、球離れ自体は良くなったとも言えます。役割が増えてボールがシュルーダーに帰ってくることが多くなった結果ということですね。また、先に述べたようにペースが激減しているため、100ポゼッション毎をベースに考えると相当シュルーダーにボールが入る割合は増加しています。ペースの変化によってサンダーの持つポゼッションが減ったことを考えるのは今季のサンダーを考える上でとても大事です。

 

ここまで長々とオフェンスについて語ってきましたのでディフェンスは手短に紹介いたします。

シュルーダーのオフコートDFレーティング114.4

シュルーダーのオンコートDFレーティング102.4

このオンコートDFレーティングは30試合以上出場かつ25分以上のプレイをした主力選手の中ではリーグ8番目に位置します。

更にDFウィンシェアで見ても同条件でリーグ7番目の0.152とサンダーのDFの中核であることも伺えます。

また、昨季のこれらのスタッツはDFレーティングが105.5、DFウィンシェアが0.114とチーム内でも中位であったことを考えると圧倒的な成長です。

更に言えばホークス時代の2年前はレーティング111.8、ウィンシェア0.043でリーグワーストクラスであったことを考えると想像もつかないレベルでの成長であることが分かるでしょう。

 

攻守にわたってひと回りもふた回りも大きく成長したシュルーダー。数年前にはディフェンスレスの非効率ガードであるとの批判も少なくなかったなか、現在ではベンチスタートで得点をリードしており、高いTS%を誇ります。同様にDFでも貢献するエリート6thプレイヤーになったシュルーダー。今後どうなるかは全く分かりませんがまだ26歳と若く、全盛期に差し掛かっているシュルーダーから目が離せません。

 

DFの参考に。本当は1人だけオールコートで当たったくれるシュルーダーが好きなのでその動画を載せたかったのですが見つからなかったので。

https://youtu.be/VlyF1fPjMTw