サンダーの序盤戦を振り返ろうvol.1
開幕戦がまさかの延期となったときにはどうなるのかと先行き不安でしたが、早くも10試合がつつがなく終わったということでサンダーの序盤戦について振り返っていきたいと思います。
今日のスパーズ戦についてはかなりイレギュラーな展開に持ち込まれてしまい残念ながら敗れてしまったという感覚が強いですが、チームとしての形は見えてきており、ここまで5勝5敗と健闘を見せています。評点をつけるなら80点くらいあげてもいいくらいです。でも対戦相手の平均勝率は51.4%と特別強いところとも当たっていないという事実もあり、楽観視はできません。特に今月はレイカーズ、シクサーズ、ナゲッツ、クリッパーズ、サンズと強豪との試合が続くのでここで痛めつけられることも充分に考えられます。でも反対にこの辺の強豪との戦いはいい経験になると共にもし勝つことができれば若手の多いサンダーに勢いと自信をもたらす可能性もあり、チャンスでもあります。ピンチはチャンスとはよく言ったものです。
さて、この辺でここまである程度固まってきたローテーションを確認していきましょう。
PG/ヒル-マレドン
SG/シェイ-ディアロ
SF/ドート-ポクシェフスキー
PF/ベイズリー-ケンリッチ(ロビー)
C/ホーフォード-ムスカラ
当然のように昨季のサンダーを支えたヤングトリオがスターターに抜擢されました。あと脇を固めるベテランとしてヒルとホーフォードが抜擢。ロスターを考えるとめちゃくちゃ妥当な選出です。またベテランの2人は26-27分程度と出場時間自体は控えめ。特にホーフォードはPTがキャリア平均32.5→27.1と大幅減で、キャリア最低を大きく下回る結果に。でも別に衰えてるって感じもないんですけどね。チームの方針でこうなってるのとムスカラやロビーが意外にも頼れるのでこうなっているように感じます。ロビーとケンリッチはPTを取り合う関係にあるように見えますが3人目のCがロビーということもありこの部分だけはケースバイケースです。でも今日のようなムスカラとの連携を見るとロビーはCの方が向いていそう。残りのロスターにはジャスティンとミラー、ジェローム、ホール、ブラウンが控えていますがどうも積極起用という見方はされていなさそう。今のところガベージ要因です。
スタッツとしてはざっくりこんな感じ。
Shai Gilgeous-Alexander
33.6min
20.9pts
49.3FG%
35.3TP%
75.4FT%
5.7reb
6.3ast
2.8tov
1.0stl
0.5blk
Darius Bazley
30.3min
11.3pts
39.4FG%
28.0TP%
92.9FT%
8.1reb
1.6ast
1.8tov
0.4stl
1.2blk
Luguentz Dort
27.9min
12.4pts
46.7FG%
43.8TP%
79.2FT%
3.7reb
0.8ast
1.2tov
0.8stl
0.3blk
Al Horford
27.1min
11.1pts
41.8FG%
32.0TP%
50.0FT%
7.1reb
2.4ast
0.9tov
0.3stl
0.8blk
George Hill
26.0min
11.9pts
50.7FG%
38.5TP%
88.9FT%
2.2reb
3.7ast
1.0tov
0.9stl
0.2blkHamidou Diallo
21.0min
12.5pts
55.8FG%
27.3TP%
70.3FT%
5.1reb
1.8ast
1.0tov
1.1stl
0.3blk
Theo Maledon
19.9min
5.9pts
36.7FG%
27.8TP%
45.5FT%
2.0reb
2.8ast
2.0tov
0.7stl
0.0blk
Mike Muscala
17.6min
9.4pts
46.8FG%
42.2TP%
88.9FT%
3.1reb
0.8ast
0.4tov
0.2stl
0.4blk
Isaiah Roby
16.9min
7.9pts
62.9FG%
41.7TP%
50.0FT%
4.0reb
0.4ast
1.0tov
0.1stl
0.6blk
Aleksej Pokusevski
16.0min
2.4pts
22.2FG%
13.0TP%
0.0FT%
4.1reb
1.0ast
1.8tov
0.6stl
1.0blk
Kenrich Williams
10.3min
2.0pts
27.3FG%
28.6TP%
100.0FT%
1.7reb
0.7ast
0.6tov
0.3stl
0.3blk
PTの長い順。ちなみにTP%は3P%のことです。数字が並んで見にくいことこの上ないので仕方なくこんな表記に。というようなことは置いておいて、数字を見ていきましょう。
特筆すべきはやはり得点分布のバランスの良さで、PPG2桁のプレイヤーが6人もいること、更にはスターター全員が2桁というバランスが光ります。安定した得点源はシェイ1人にとどまりますが、そのシェイはシェイで得点にこだわるのではなく、「正しいプレイ」のチョイスによってTOVを抑えながらにしてASTを3.3→6.3まで増加させてきています。またFG%の上昇も伴っており、効率的に点を取るエースであり大黒柱としてのプレイが身に付いてきているように思えます。でもFTは課題ですが。
機体の成長株、ベイズリーは調子の乱高下が激しく、思った通りとはいかない様子。特にフィジカル的な面で苦労しているようで、ザイオン・ウィリアムソンやジュリアス・ランドルらとのマッチアップの際は苦戦を強いられました。OFでも光るプレイを随所に見せますが、メイン得点源の3Pがここまで不発といった部分で苦しんでいます。というか今季に入ってからあのえげつない振り幅のステップバック3Pを見ていない気がするのですがどうしたんでしょうか。元々昨年からコーナー3Pが苦手な印象で、29.8%しかなかったのですが今季では26.7%とさらに下落しており、打つ本数が増えただけに欠点になりつつあります。ウィングからなら悪くないんですけどね。
ドートはドートでプレシーズンでの不調は何処へやらといった感じでシューティングに安定感を見せています。3P4割超えというシューターとして1流とされるラインを保持していることから調子の良さが伺えます。でも実はDBPMが0.4→-0.5に低下していたりとDF面での輝きがまだ見られていないかなといったところ。エースストッパーではあるもののヘルプディフェンダーではないといった部分で隙を突かれがちです。ロバーソンがいれば指導を受けられたのでしょうがそうもいかず…今後ヘルプDFが伸びていくのかは若干の不安要素ですね。本当にロバーソンにはコーチとしてサンダー入閣を果たしてもらいたいのですが彼自身まだ30にもなっていないこともあってどうなの?という部分ではあります。
ベテラン2人は正直言って予想以上でも以下でもないスタッツに。安定感を与えてくれる要素になっていますがホーフォードもヒルも3Pだけはかなり乱調します。ぶっちゃけると厳しい展開を打破できるかの要素はホーフォードとシェイのP&Pが成功するかどうかだったりするのでここがもう少し安定してこないことには格上との勝負は難しいところ。
そしてベンチメンバーについてですが意外にもサンダーの得点ランキング2位の男はディアロだったのでした。ここ数日で23.25.16得点と猛プッシュして平均得点をぐんぐん伸ばしてきた彼ですが、意外にもTOV%は13.6%→9.9%と減らしてきており、USGが18.4%→23.3%へと増加したことを鑑みると相当計算の立つベンチプレイヤーと成長していると言えるでしょう。でも相変わらずの低調な外角シュートがどうなるか次第では、現在78.8%を誇るペイントエリア内での得点効率も下がってくるやもしれませんが。しかしこれは強烈な数字であり、現在MVP候補筆頭のジョエル・エンビードと同値であると考えると讃えられるべき内容です。
ベンチメンバー中2番目の出場時間を誇るマレドンはスタッツこそ地味なものの、2ndユニットの調整役として一役買っており、彼の調子次第で2ndユニットの行く末が決まるといっても過言ではない状態です。でもプレイ内容の割にTOVが多く、効率的なパスを選びがちなので読まれやすいといった点でNBAという環境に順応していく必要があります。あとリムアタックをかけたりもしますがユーロよりも更にフィジカルなNBAのリム周りでは弾き飛ばされるのがせいぜいといった感じで、特にドローファウルをするわけでもないのでスコアリングには苦労が見えます。
ムスカラはファウルしないDFを意識的に伸ばしてきており、これが結構通用していて予想外の進化を見せています。が、フィジカルを活かしてぶつかっていくことは未だ不得手で、リバウンドだったりリムプロテクトでのフィジカルコンタクトなどでよく吹っ飛ばされています。でもやれる範囲で頑張るので特に穴になることもなく、使い勝手の良い選手となっています。3Pは元から上手いですし。
判断に困るのがロビー。突如として彗星のように登場したサンダー第3のビッグマンは現代ビッグマンに要求される基礎の動きやフィジカルをほとんど全て兼ね備えた6-8のセンターというピーキーかつ不気味な存在へと進化しました。なんといってもリバウンドのポジショニングや飛び込みのタイミングも上手く、プットバックをしてくれたかと思いきや鮮やかなPnRを決めたり果てには3Pを沈めたりします。なんなんだ。でもいかんせんサイズ不足なのは明らかで、DBPMが-1.4と低いです。また、TOV%も16.1%とかなり高めでサンダーにとって諸刃の剣なのでした。それでも重用したくなる彼の1流のロールプレイヤーとしての才能が17.5分ものPTをデイノートから引き出させていることは間違い無いのでした。果たして彼の才能は毒となるか薬となるか。一年後が楽しみです。
次いでポクシェフスキー。ポクシェフスキー。ポク。デビューから5試合は目も当てられない惨劇というに相応しい数字を残していましたが、怪我明け復帰後のここ3試合では多少なりとも実力の片鱗を見せており、妙なシュートも決まり始めてはいます。でも未だにナショナルルールとNBAルールの勘違いをしたりと先は長そう。サンダーの現状からすると今年いっぱいは彼にかける時間は取れそうですが、来年から2、3人のルーキーが毎年ドラフトされて加入してくることを考えると今シーズン中にせめてシュート、リバウンド、ブロックくらいは物にしておきたいところ。彼は8試合見ても成長途上感が強いので少なくとももう20試合くらいは温かい目で見ていかなければならないなと思います。
ケンリッチはどうもこうもありませんね。正直ヒュースティスの方が優れているようにさえ感じます。3年目の25歳ということを考えても伸び代らしい伸び代も感じませんので今後ロビーないし誰かにPTを奪われていくだろうと思います。でもロビーはCなんじゃないかなぁとも思ったり…
とにかくサンダーが今後も勝ちを狙っていくならば、ここの穴さえ塞いでしまえばPOライン上で戦えるチームにはなると思います。そのためにももう1人アウトサイドを苦手としていない実績のあるベテランディフェンダーが欲しいのですが………ん?!??
・最後に
vol.1ということで個人のトラディショナルスタッツ重視で軽めに仕上げてみました。が、どうも私はダイノートHCのコーチングが結構好みらしく、著しく増加傾向にある3Pやパスの本数なんかもとても気になっており、そのうちチームのアドバンスドスタッツ中心にまとめたいと思っています。まぁ例によっていつになるかわかりませんが気長に待っていただけると嬉しいです。それではまた次回。