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サンダーvsロケッツ シリーズプレビュー

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さて、サンダーのレギュラーシーズン日程が全て終了ということでついにやってきました。そう、ポストシーズンです。ポールが最近口すっぱく話しているようにサンダーのプレシーズンでのPO進出確率は僅か0.2%とされており、過小評価されていたサンダーでしたが見事にそれを跳ね除けて激戦のウェスタンカンファレンスで5位をマーク。勝率も61%と50勝相当とむしろ昨年より実績を伸ばしています。そんなサンダーのシーズンだったのですがそもそもは昨年のオフにジョージとウェストブルックを放出したことから始まっておりその片方であるウェストブルックのトレード先、ロケッツとのプレイオフシリーズを争うことになったことは運命的と言えるでしょう。また、ポールもロケッツに親しい友人がいたり、ハーデンとの不和などの遺恨もあったりとストーリー性が色濃く、プレイオフ1stラウンドにおいて最も注目を集めるカードの一つであることは周知のこと。

そんなサンダーとロケッツのシリーズですが、世間でも評価が割れており、一進一退であるとの意見が強いため、やはりサンダーにも勝機があるシリーズと思われます。実際にシーズン成績は2-1とリードしておりますがいずれもトレード前とロケッツのスーパースモールボールと相見えたことはなく、不安要素が多いのもまた事実。そんなロケッツ戦をデータと睨めっこしながら軽くプレビューしていこうと思い、記事にした次第です。それでは本題へ。

あ、ちなみにウェストブルックの欠場やドートの欠場に関してはあまり考えずにいきます。どちらも1試合程度らしいので。

 

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イノベーションvsオールドスクール

このシリーズを分けるのはやはり両チームのスタイルの差だと考えます。センターレスという革新的な戦術を擁するロケッツとオーソドックスバスケットを展開するサンダー。1番の違いはやはりセンターの差で、ロケッツのセンターは6-7のロバート・コビントン。実質コンボフォワードの彼とかなりのアンダーサイズでありながらハッスルプレイと正確なコーナースリーでリーグ屈指のストレッチ4となったPJ・タッカーが互いにカバーしながらインサイドを守ります。ベンチから出てくるのは元OKCのグリーン。それぞれがインサイドで体を張っていますが最高がグリーンの6-8、スターターならコビントンの6-7とやはりアダムスに対抗できるのかといった部分が大きなファクターとなります。逆もまた然りで、コンボフォワードとのマッチアップになるアダムスはどうディフェンスすれば良いのかといった部分も命題で、5outの布陣に対して2-1-2ゾーン的に守るのが予想されますがオープン3Pが防ぎにくいという欠点もあり逆にアダムスが足を引っ張る形にもなりかねなく難しい判断が強いられることになるでしょう。ここでデータを見ていきますと、トレード後にロケッツと対戦した各チームのスターティングセンター全19人のうち16人が二桁得点、またそのうち11人が50%以上のFG%を記録しているなど、インサイドを守るのはやはり厳しい印象を受けます。また、トレード後のチームリバウンドは100ポゼッションあたり僅か37.8と30チーム中最下位となっており、やはりインサイドはロケッツにとって不安要素と言えるでしょう。あとはサンダーというかアダムスとノエルがどうロケッツにアジャストしていくかが問題となります。アダムスはポストアップのPPP(ポゼッション当たりのポストアップ効率)が今季0.89と微妙な数字で、ノエルはそもそも記録なしとセンター陣のポストアップは相当怪しく、上述したロケッツが止められなかったセンターたち(ジョエル・エンビードやアンソニーデイビス、モントレズ・ハレルなど)と比較するとポストアップポゼッションも効率も少々物足りなく感じます。まぁクリスタプス・ポルジンギスやディアンドレ・エイトンなんかはアダムスと比較しても一層低いPPPなのでロケッツ相手ならばかなり効率的に仕事ができる可能性はありますが。

また、PPPの話をする上で避けて通れないのがガリナリの存在で、ガリナリはリーグトップクラスのPPP1.04を記録しており、ポストアップ毎に1得点を期待できるという超効率ポストプレイヤーといった特性上、マッチアップ相手次第ではかなり有効なオプションになる可能性があります。どうにしろサンダーとロケッツのシステムの差異を考えるとペースを落とさなければならないのでポストゲームが有効に働くかが大きな鍵を握ると考えて良いでしょう。インサイド陣には一層働いてもらう必要がありそうです。

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借り物の画像ではありますが、上述したペースを落とす必要という根拠はこれです。サンダーとロケッツではペースがおよそ4.5も異なり、サンダー優位の展開にするには24秒じっくり使うハーフコートバスケットが有効となると言えます。DFではファストブレイクを出されないようにすることと、ハーデンに時間を使わせることでペースを落とし、サンダー寄りにしていくことが求められます。

また、トレード後、12-10を記録しているロケッツですが、それまでと比較して5本多くの3Pアテンプトをしており、勝利時には37.6%、敗北時には29.3%とより一層3Pの調子に左右されるチームになっていると考えられます。

次いでサンダーの3Pに対するDFを見ていくと、被3P%は34.0%とリーグ2位タイ、vsロケッツのシーズン中の3試合平均ではなんと23.3%とリーグで最もロケッツの3Pを抑えていたチームとなりました。重ね重ねになりますがあくまでトレード前となりますが。

また、これらのことは最大の争点となるであろうvsハーデンについて深く関わってくることになりそうです。というのもハーデンは今季平均12.4本もの3Pアテンプトがあり、彼の調子次第で上で示した被3P%がひっくり返ってしまう可能性を孕んでいるからです。

・ハーデンvsサンダー

  • 3試合
  • 平均34.1分出場
  • 28.7得点
  • FG32.8%  (7.3/22.3)
  • 3P15.0%  (2.0/13.3)
  • FT90.0%  (12.0/13.3)
  • 5.0リバウンド
  • 5.3アシスト
  • 3.0TOV

今季のvsハーデンの記録です。FG、3P共に散々ですがFTはやはりと言うべきかかなり稼がれており、TOVも意外と誘発できていないことが分かります。しかし今季平均34.3得点を挙げているハーデンを28.7得点に抑えているのは立派でしょう。シュートに関してはサンプルが3試合しかないため不調なだけである可能性もありますが、優秀なペリメーターディフェンダーがいるとも考えられるのでそこは後々証明されることでしょう。ちなみにウェストブルックは3Pこそ入らないものの29.0得点、FG59.1%と驚異的な効率で得点を挙げており、止められるかどうかはわりと時の運です。シェイはウェストブルックのフィジカルなアタックが苦手なようで15/27で55.6%でウェストブルックとのマッチアップで失点しており、ウェストブルックの対処も一応考えなければならないでしょう。とはいえリムアタックしか選択肢がないため優先して考えるべきはやはりハーデンかと。

そんなこんなで次にハーデンのマッチアップの結果を見ていきます。

・ハーデンvsドート

  • 1試合
  • 平均7分55秒マッチアップ
  • 平均32.6ポゼッション
  • 8失点
  • 2与TOV
  • FG15.4%  (2/13)
  • 3P9.1%  (1/11)
  • 与FT4

・ハーデンvsファーガソン

  • 2試合
  • 平均4分マッチアップ
  • 平均16.4ポゼッション
  • 8失点
  • 1与TOV
  • FG38.5%  (2.5/6.5)
  • 3P42.9%  (1.5/3.5)
  • 与FT2

・ハーデンvsシュルーダー

  • 3試合
  • 平均1.7分マッチアップ
  • 平均7ポゼッション
  • 3失点
  • 0.3与TOV
  • FG14.3%  (0.3/2.3)
  • 3P20.0%  (0.3/1.7)
  • 与FT2

・ハーデンvsロバーソン(17-18)

  • 1試合
  • 平均6.4分マッチアップ
  • 平均23.2ポゼッション
  • 5失点
  • 1与TOV
  • FG20.0%  (1.0/5.0)
  • 3P0.0%  (0.0/3.0)
  • 与FT3

先程も申し上げたようにサンプルが少ないのですがざっと並べても対ハーデンに強いガードが多いことが分かります。期待値的に言うとドート、(ロバーソン)、シュルーダー、ファーガソンの順かな。ドートが出場出来なさそうな明日の試合はファーガソンがマッチアップしそうな気がしますがロバーソンの方がいいような気もします。とりあえずめちゃくちゃなことをして貪欲に得点を狙ってくるハーデンは止めようがないときには本当に止めようがないのでそうなってしまったらお手上げですけど基本的にハーデンとマッチアップして止められる選手が4人もいるということで、彼らが入れ替わり立ち替わり40分くらいマッチアップしてくれればある程度の対策にはなりそうかなといったお話なのでした。

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・総評

長くなってしまったのでこの辺にしますが、スモール対スモールになった場合にセンターは誰がやるのか(ベイズリーをここ最近5番で起用してスモールを試していたのは布石だったのかな)とか、結論ウェストブルックはどう止めたら良いのかとか元HOUで戦略を知り尽くしているポールのアドバンテージはどのくらいあるのか、またプレイオフで自ら撃つシュートを増やして毎年PPGを上げているポールについてやベテランながらプレイオフ経験に乏しいガロの不安について、ネイダーとムスカラ使われるのかな問題など語りたいことは山ほどありますがそれはまたお預けということで。

ポールとガロを除けば殆どがU26、NBA経験3年以下が過半数というかなり若いロスターで不安も期待も大きく、また相手がロケッツということで色々な意味で楽しめそうなプレイオフですがそろそろ1stラウンドを超えるところも見たいなぁというか少しでも長くサンダーの試合を楽しみたいなという感じで若手の成長やポールとガロ等のベテランの燻銀の働きに期待しつつ、気楽に応援していきたいと思います。どんな結果になっても満足ですがやはりやるからには勝って欲しいということで申し訳ないですけどウェストブルックには涙を呑んでもらいたいところ。初戦は明日となっております。またウェストブルックとドートが欠場となっており、その埋め合わせを両チームがどうするのかも注目の一戦となりそうです。