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3/14 サンダーvsネッツ シーズン第68戦

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久方ぶりにホーム、チェサピーク・エナジー・アリーナに戻って行われたネッツとの一戦は最終的に108-96で降しています。

サンダー"らしさ"が前回だった試合ですが須らく反省点も多い試合でした。

なにが"らしい"のかって言うとまずはディフェンス、そして試合展開、あとはハッスルプレイです。オフェンスの波があるのもサンダーらしいといえばらしいのだけれどもうちょっとどうにかはなりそう。

ディフェンスとハッスルプレイについてですが前戦であるジャズ戦は双方優れていたために勝ちを掴んだことは記憶に新しいのですがこのクオリティが持続するのかどうかが肝要でした。年明けから急激に悪化し、オールスター前後で崩壊したとも言われたサンダーのディフェンスですがここ2試合に限ってはとても素晴らしいディフェンスが実行できており、ようやく鉄壁の復活の兆しが見えてきたかなといったところ。でもなぜ突然調子を取り戻しつつあるのかと言うことを今日の試合そっちのけで考えていきます。

 

*欠かせないもの

今日も相変わらず酷い入りだなぁと思わされる出だしで、前半に一時17点ものビハインドを背負うことになったサンダーですが、前半は52失点、ディフェンスレーティング106.1と当然優れたディフェンスとは呼べないもののそこまで悪いディフェンスではなかったのです。むしろビハインドの原因は42得点しか出来なかったオフェンスにあったことは一目瞭然で、その原因も前半のFG35%、アシストが僅かに6つに対してTOVが10も数えていたことから考えずとも分かるような稚拙なオフェンスなのでした。シュートが入らないというのはその日の調子に左右されるので仕方ない部分ではありますがAST/TOVが1を下回るというのは極めて異常なことで、当然ながらただでさえ入らないシュートが更にFG%なども下がり、逆に速攻などを喰らいやすくなるのでディフェンスの質も下がります。この状況で52失点、106.1のレーティングにとどまったことは逆に優れていると言えなくもないでしょう。

反対に一度流れに乗ることが叶えば、後半に66得点、FG49%を16アシストから僅か1つのTOVで生産することもあるでしょう。それは取り組めばある程度の改善もできますし、試合の流れやマンパワーでアドバンテージをとるチームの弱点かつ強みであるとしてある程度許容すべき部分でもあります。ですから再三になりますがサンダーの理想的な勝ちのパターンというのは自分たちの流れが来たら一気に波にのるオフェンスで突き放すというストロングポイントを活かすために強固なディフェンスでそれを待つ。

そんなスタイルが今季のサンダーの理想であると観てきた68試合から感じ取れます。そしてそれはウェストブルック(シュローダー)とジョージを起点とするスター式のオフェンスに合っていると思いますし、事実として機能していました(といった話をしたような記憶が…)。

つまり要約するとサンダー的にはオフェンスは選手本位でディフェンスがチーム本位、そしてオフェンスでアドバンテージが取れるまでチーム本位のディフェンスで凌ぐということです。つまりはウェストブルック体制だった2016-17シーズンの焼き直しであり、一つの完成形でもあります。ちなみに昨季のサンダーはこれをやろうとしてディフェンスもカーメロも使いこなせずのどっちつかずに終わったものだと思っておりますし、これをやる上で絶対必要になるのがグラントなのです。ロバーソンの異常なディフェンス力でうまく誤魔化していた時期もありましたがロバーソンが離脱すれば当然誤魔化しも歯止めも効かなくなったのは周知のこと。ただ今季は残念ながらロバーソンの復帰には頼れませんし、仮に今季帰ってこられたとしてもあのディフェンスが今後できるのか、怪我の影響はどれほどあるのかといったところから昨年と同じ構築はできないでしょう。そこから生まれた発想がロバーソンの分をファーガソン+グラントで補うといったものでした。これは初め、うまくいかずにファーガソン及びドノバンHCに大きな批判が飛びました。

しかしファーガソンの成長と、元々スターターだったパターソンとグラントの入れ替えもあり機能を始め、ウエスタン15位から現在42勝を積み上げ、4位につけているところまで登ってくることになったのですが、ここ最近はその初期の気持ちを忘れてしまっていたのかこのファーガソン、グラントのシナジーは鳴りを潜めることになってしまっていたのです。代わりにファーガソンとグラントは大幅に3P%、PPGを伸ばしましたが本来の意義を忘れていたようにも感じました。特にファーガソンです。

そしてオールスター明けですがものの見事にファーガソンの3P%が低下します。それまで4割程度まで上げていた3P%がオールスター以降、今日を含めて11試合で27.3%まで落としました。原因はただ入らなくなったということもあるんでしょうが、セットからではなく動きながらのシュートがかなり増えてきたことと、ワイドオープンでのシュートセットが1.2本、C&Sのシュートが0.7本も減少したことが大きいと思われます。とどのつまり、ファーガソンへの警戒度が上がったことに対応できていないのです。そこを通してあげるべきウェストブルックやシュローダーの責任も少しはありますが彼自身の更なるステップアップが求められていることは言うまでもないと思います。ただ、早いうちにこの壁に当たれたのは彼にとって良いことだとは思いますし、今のところはグラントがワイドオープン時に42.9%の高水準を保ってくれており、更にはウェストブルックがワイドオープン時に40.0%、3P全体で38.5%も沈めてくれているのでファーガソン自身はそこまでシュートに固執する必要がないのは救いです。(ジョージの負傷による乱調は死活問題ですが)

そういった部分から、シュートが入らないことで逆にファーガソンが自身の役割を思い出し、集中して取り組めているというのがここ2試合のディフェンスの変化に現れています。ちなみにファーガソンのここ2試合のディフェンスレーティングは87.8でチーム2位を記録しています。オフェンスレーティングとの差を示すNetレーティングでは26.5でチーム最多、2番目はグラントで21.8を記録しており、やはりサンダーを支える2人のロールプレイヤースターターの活躍こそが肝なのであり、ウェストブルック、ジョージ、(ロールプレイヤー寄りですが)アダムスらの活躍はそれらの上に成り立っているということを数字が物語っていました。

「数字には残らない貢献がある」

バスケットボールに関わっているとよく目や耳にする文句ですが近年、それらは数字に表せるようになってきました。そしてその数字に残らないとされていた見えない数字を残している地味なプレイヤーが輝くスタープレイヤーを支えるという構図は古今変わらず、サンダーにおけるそれがファーガソン、グラントなのです。(アダムスは割と輝いてるしいいよね)

若干ポエム調のくっさい言いかたをしてしまいましたがファーガソン、グラントがディフェンスにおいてリードボーカルになるということことサンダーのディフェンスの強化、もとい原点回帰になるのではないかと思わされる2試合でした。

あとはチーム全体で泥臭いプレイ、つまりブルーカラーなハッスルプレイがまた多く見られるようになってきました。プレイオフに向けて気合が入っているのか気まぐれなのかは分かりませんが勝利への意欲というものを取り戻しつつあると感じられる気迫のこもった試合はここ2試合に限らずブレイザーズ戦辺りから取り戻しているように感じます。これこそがサンダーであり、切っても切り離せないチームのスタイルだと思いますしこれがなかったからこそシーズン序盤及びキングス戦からスパーズ戦の期間に4連敗を喫することになったのだと思っています。それを取り戻してくれたのは1回目はウェストブルック、そして今回はジョージでした。やはりスターかつリーダーが率先して1つのポゼッションに打ち込む姿勢を示すからこそチームスタイルとして昇華されたんだなと思います。元はと言えば3/21に永久欠番セレモニーが行われる予定のコリソンが源流かなとも思ったり。

 

・スターを支えることこそ本懐

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総評

今日のゲームをそっちのけで感傷に浸りつつ数字を紹介したりしてきたわけですがここにきて姿勢を一転させていただきます。サンダーのディフェンスの改善はもちろん挙げた部分も大きいかなと思っていますが何よりの変化はファウルの数なのです。これは感情とか推測とか選手個人の問題とかを一切排除した場合に一番影響を及ぼしていると考えられることで、ここ2試合では双方ともに失点を100点以内に抑え、ディフェンスレーティングも100を割っているのですが特徴として比較的ファウルコールが少ないことが挙げられます。ジャズ戦が21、ネッツ戦が20といずれもシーズン平均を下回っており、クリッパーズ戦の34などを含むオールスター明けで100失点以上を数えた8試合平均の24.8を平均で4以上下回っており、FTを与えた本数もジャズ戦が17本、ネッツ戦が19本と同様の8試合平均の34本を大幅に下回っており、かなりの差が生じていることが分かります。つまるところ、その日のレフェリーの基準による部分も大きいのです。今日なんかはインサイドはかなりの肉弾戦でしたがファウルコールは少なく、もちろんサンダーが上手く守ったとも言えますしファウルの基準が厳しかったとも言えます。そしてその厳しい基準になるとディフェンスの良いサンダーはかなり優位にことを運べるのです。こればっかりは試合ごとに違うものですので対応は難しいのですが、わざわざ強みを潰すことも馬鹿げているので多少吹かれようとタフにディフェンスするしかないという仕方ないところもあったりします。

しかしこのファウル云々もあくまでサンダーのブルーカラーなチーム方針抜きに語れないことでもあるので先ほどの話と合わせて考えると良いと思います。

あとは依然調子がおかしいアダムスだったり別の意味で調子がおかしいウェストブルックだったりモリスがお休みで代わりに正式契約を締結したバートンが早速入って活躍したりと色々語りたいところはつきませんが無駄話が長かったのでこの辺で。

次回は明日にBtoBでジョージの古巣、ペイサーズまで飛ぶようですがどうにか連勝とこのディフェンスを続けて欲しいところです。それではまた。